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館内展示

第88回
近代陶磁をふりかえる-明治・大正・昭和初期

令和3年(2021)6月8日(火) ~ 9月5日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第88回「近代陶磁をふりかえる-明治・大正・昭和初期」の展覧会図録表紙画像

三の丸尚蔵館が所蔵する陶磁作品の多くは、明治時代から昭和時代にかけて製作されたものです。それらは、全国の産地から皇室へ献上されたものだけでなく、展覧会などで買い上げられた著名な陶芸家の作品が含まれ、わが国の近代陶磁史の主要な流れをふりかえることができるコレクションとなっています。

日本における近代陶磁の大きな特色は、茶の湯の器や日用雑器として用いられた近世までの実用的なあり方から、西洋的な室内空間を飾る調度として、あるいは展覧会への出品を通じて陶磁それ自体の美術的な価値が見いだされたことです。明治前期の陶磁は殖産興業政策の下でわが国の主力製品の一つとして輸出されました。折しも欧米各国では万国博覧会が開催され、ジャポニスムと呼ばれる日本趣味の流行が最盛期を迎えていました。しかし、明治30年代になるとジャポニスムの終焉とともに陶磁の海外輸出も減少することになり、それを受けて西洋の新しいデザインや、中国・朝鮮古陶磁の技法研究など、目指すべき新たな方向性が模索されました。そして、大正時代から昭和初期にかけては、個性の発露を重視した作陶姿勢を表明する次世代の陶芸家が登場し、戦後陶芸の礎が築かれました。

本展では、このような歴史的背景をもつ皇室に伝わった近代陶磁の優品をいくつかのテーマにわけて紹介いたします。