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館内展示

第87回
名作を伝える-明治天皇と美術

令和2年(2020)10月10日(土) ~ 12月13日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第87回「名作を伝える-明治天皇と美術」の展覧会図録表紙画像

明治天皇は、その御世を通して、博覧会や美術展覧会に度重ねて行幸され、美術の振興に深く心を寄せられました。このような行幸に際しては、多くの作品の御買上げが行われています。その一方で御下命による美術品製作も行われ、様々な作家たちが活躍の場を得ることにもなりました。御買上げや御下命の品々には、伝統的な様式と技法による作品のほか、西洋から取り入れた表現技法である写真や油彩画も含まれ、新しい技術、表現の試みにも広く関心を寄せられた明治天皇の眼差しを感じとることができます。

また、明治21年(1888)には明治宮殿が完成、翌年には大日本帝国憲法が発布されるなど、国家の体制が確立していく中、美術の奨励と保護のため、明治23年には帝室技芸員の任命が始まります。その後、明治30年代にかけて、天皇の勅裁のもと、宮内省が製作を主導することで明治期を代表する記念碑的な名作が幾つか生み出されました。これらの御下命製作が行われた背景には、明治の優れた技を次の時代に伝えようとした意図がうかがえます。皇室は、美術品製作に直接に関わることで、その伝統を繋ぐ、大きな役割を果たされてきたのです。

本展では当館に引き継がれた作品の中から、明治10年代から30年代にかけての御下命による作品や博覧会等での御買上げ品を中心に紹介します。皇室が護り育み、伝えてきたこれらの名作の数々から、明治美術の多彩な魅力を楽しんでいただければ幸いです。