終了

館内展示

第64回
開館20周年記念 美を伝えゆく-名品にみる20年の歩み-

平成25年(2013)10月12日(土) ~ 11月24日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第64回「開館20周年記念 美を伝えゆく-名品にみる20年の歩み-」の展覧会図録表紙画像

平成5年11月3日に開館した当館は、今秋で20周年を迎えます。平成元年、昭和天皇の御代まで御物として皇室の所蔵品であった品々のうち、美術工芸品類約6千点余が天皇陛下と香淳皇后から国へ寄贈されたのを契機に、それらを専門的に収蔵し、調査研究、保存、公開を行う施設として当館は発足しました。小規模な施設ながら、収蔵品の調査研究に基づいてテーマに沿って公開し、皇室と文化の関わりについて様々な視点からの紹介を積み重ねてきました。これまでに開催した企画展は63回に及び、さらに12回の特別展を開催しています。

その一方で、皇室から託された日本文化の優れた作品を後世へ伝えるという役目も担っています。作品の保存管理は、日頃のメンテナンスを進めながら、さらに専門技術者による修理事業を行ってきました。貴重な作品の修理事業においては、事前の調査を行った上で修理方針を検討して作業を進め、修理中には様々な調査を行い、それらの記録を残した上で、修理後の作品の公開と保存に役立てています。これまでの修理事業により制作年代や制作方法の詳細など、貴重な事実が明らかになった作品もあり、わが国の美術史研究にも大きく寄与しています。

今回の開館20周年記念展覧会にあたり、修理事業によって興味深い成果をもたらした名品の数々を通して、公開を支える保存事業の重要性を紹介します。これまで、皇室に伝えられてきた作品を調査に基づいて系統的に紹介してきたこと、その一方で修理事業を中心として作品の保存措置に努力を重ねてきたこと、それらの積み重ねが継続していることは、当館の大きな軌跡です。この軌跡が、皇室と文化の関わりを広く紹介し、また日本文化の伝統の継承に役立つことを願います。