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館内展示

第41回
明治の彫金-海野勝珉とその周辺

平成18年(2006)9月23日(土) ~ 12月10日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第41回「明治の彫金-海野勝珉とその周辺」の展覧会図録表紙画像

彫金とは金属の表面に鏨(たがね)で文様を彫ったり、切り透かしたり、そこに他の金属を嵌(は)め込んだりする装飾技法のことです。日本の彫金は、桃山時代から江戸時代にかけての刀装具の製作、いわゆる装剣金工の分野で大きく発展し、それ以外にこの技術は小物類などの装飾にも活かされてきました。明治維新を迎えると、廃刀令の公布などによって、それまでの彫金の需要は大きく減少し、一時衰退しますが、新しく流入した洋風の生活様式に用いられる、花瓶や煙草箱などの調度に彫金が用いられるようになりました。また、19世紀後半以降、国内外で盛んに開催された博覧会に彫金による図額や置物などが数多く出品されて好評を博し、精巧な彫金技術による新たな装飾美の可能性が見いだされました。彫金技術が様々な調度に取り入れられて、そのバリエーションが広がった明治時代は、彫金が最も華々しく脚光を浴びた一時期であったとも言えます。

本展では、この明治時代を代表し大きな足跡を残した彫金家・海野勝珉の作品を中心に、同時代の優れた彫金作品の数々を紹介します。海野の《蘭陵王置物》は明治23年(1890)の第3回内国勧業博覧会で一等妙技賞を受賞、また《太平楽置物》は明治33年のパリ万国博覧会に出品されたもので、どちらも海野の代表的な作品であると同時に、明治期彫金の代表作です。さらに明治天皇の大婚25年を祝して献上された《色紙貼交屏風》は、画家の原画をもとに、海野をはじめとする彫金家17人が色紙形を製作した合作で、歴史的にも貴重な作品です。本展を通じて明治期彫金の名品に親しんでいただくとともに、その高度な技術と表現に触れていただく機会になれば幸いです。