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館内展示

第40回
花鳥-愛でる心、彩る技<若冲を中心に>

平成18年(2006)3月25日(土) ~ 9月10日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第40回「花鳥-愛でる心,彩る技<若冲を中心に>」の展覧会図録表紙画像

現在も人気の高い、江戸時代中期の画家・伊藤若冲(1716~1800)の代表作「動植綵絵」30幅は、美しい色彩、細緻な描写、奇抜な構図等の魅力に溢れ、当館収蔵品の中でも、ことのほか多くの人々に愛されている作品です。この「動植綵絵」全30幅を、今後も良好な状態で後世に伝えていくため、平成11年度から6ヶ年にわたって修理を行いました。今回の展覧会では、その修理の成果を踏まえて、改めて「動植綵絵」、そして若冲の描写表現の素晴らしさを紹介するとともに、若冲の時代とその前後の花鳥画の展開の様子を紹介します。

若冲が活躍した江戸時代は、平穏な時代を迎えて、公家、武家を問わず、また町民、庶民までが様々な関心をそれぞれに表現して豊かな文化を華開かせた時代です。その中で、動植物を中心とした自然物にも関心が集まり、博物誌が数多く著されて発展しました。同時に、園芸が盛んになって世界一のレベルに達していたとも言われています。そして、中国や西洋からも書物や美術品も流入し、18世紀には象が渡来して人々を驚かせました。その一方で、すでに寺院等に伝えられていた古い中国画に影響を受けて発展していたわが国の花鳥画は、写実性の高い、色彩豊かな花鳥画を描く沈南蘋が来日してその画法を伝えて以後、また新たな展開を示しました。こうした中で、18世紀に活躍した画師たちは、それまでの描写表現や技法に新しい表現を加え、工夫を重ねて、写実的で鮮やかな色彩表現を主体として、それぞれに個性的な花鳥画を生み出したのです。

今回の展覧会は、若冲の作品を中心に、同時代、そしてその前後の作品を通して、改めて若冲の巧妙な表現描写を紹介します。また若冲を中心とした様々な作品によって、何時の世も花鳥を、自然を愛で続けてきた人々の変わらぬ想いを感じ、それぞれに鑑賞していただければ幸いです。