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館内展示

御即位10年記念特別展 第2回展
宸翰と日本文化の伝統

平成11年(1999)6月5日(土) ~ 7月25日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

御即位10年記念特別展 第2回展「宸翰と日本文化の伝統」の展覧会図録表紙画像

三の丸尚蔵館における天皇陛下御即位10年記念特別涙の第2回は、御物の出品をいただき、書陵部との共催により、「宸翰と日本文化の伝統」を開催いたします。この展覧会は、中世から近世にかけての歴代天皇の中から、わが国の文化に多大な足跡を遺された天皇を中心に、その宸翰(天皇の筆跡)に親しむと共に、記された様々な内容を通して当時の宮廷の有様や世相を窺い、皇室と日本文化の関わりを紹介するものです。

宸翰は、能書として知られる天皇の筆跡そのものが優れた芸術である一方、その内容も日記、和歌、書状、文芸書など広範に及んでいます。特に日記は、当時の世相などを知るための重要な史料であり、丹念に記録されたその内容は、わが国の歴史を紐解くものです。また和歌は、勅撰集の編纂もあって大いに発展し、今もなお伝統として受け継がれています。さらに文学や芸能など、多彩な分野にわたる活躍もありました。そして朝儀(朝廷の儀式)は、宮廷文化を彩る年中行事として連綿と受け継がれてきました。このように天皇の庇護のもとで生まれ、育まれてきた多彩な芸術文化は、四季の風情や人の心情、物語の主題などを様々な意匠として発展させ、優美で華麗な“雅(みやび)”の美しさをわが国の文化に特徴づけています。

今回の展覧会では、平安末期の後白河天皇をはじめとして、能書として名高い伏見天皇、寛永文化の中心に位置された後水尾天皇、東山御文庫の基礎を築かれた後西天皇など、当時の文化をリードした天皇を中心に紹介しています。歴代天皇の造詣の深さを偲ぶとともに、皇室とわが国の文化の関わりの歴史に触れていただければ幸いです。