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館内展示
御即位10年記念特別展 第3回展
御慶事のかたち
平成11年(1999)8月7日(土) ~ 10月17日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館
天皇陛下の御即位10年を記念する三の丸尚蔵館特別展シリーズの第3回展として、「御慶事のかたち」を開催いたします。
本展では、明治期以降の皇室の各御慶事に際して、国民が奉祝にふさわしいと考えてかたちづくった市中の飾り物や花電車を記録描写した絵画作品をはじめ、皇室に贈られた独特のモチーフや形状を特色とする御慶事用の絵画、工芸作品などを紹介することにしました。
これらの飾り物や美術・工芸品には、一般には、ひろく慶祝の意を象徴する鶴や竹、蓬莱山、富士などがモチーフとして選ばれることが少なくありません。しかし、その一方で、近代においてはまさに皇室の御慶事の折りにしか選ばれなかったであろうモチーフや、通常では生みだし得なかったサイズ、形状をそなえたものも数多くみられます。明治27年の明治天皇御成婚25年を奉祝して東京市内各所に配された巨大な飾り物や、品格の高い王者のイメージを託した龍をモチーフとする精緻な金工品、それに鳳凰を画題とした華麗な絵画作品などがその典型として挙げられます。それらはいずれも、近代各期の人々が、御即位や御成婚に代表される皇室の御慶事という特別な機会にいだいた祝意を豊かな創迫力に転化させ、最大限の技術を発揮して生みだした特別な性格のものなのです。
本展は、従来の日本近代美術、工芸、デザイン史では触れられることの少なかったこれらの独特な祝祭造型美の特質を実作を通じて展望するとともに、その史的意義を新たに考える、ひとつの機会としようとするものです。