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館内展示
御即位10年記念特別展 第1回展
慶祝の風景
平成11年(1999)3月27日(土) ~ 5月16日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館
天皇陛下の御即位10年を記念する三の丸尚蔵館特別展シリーズの第1回展として、「慶祝の風景」を開催いたします。
本展では、大正期以降、平成までの近現代各期の皇室の御慶事の折々に制作された絵画、工芸のなかから、日本各地の名勝地をモチーフとした作品に焦点を当て、名所絵の伝統が近代にはどのように引き継がれ、新たな表現を生みだしているのかを紹介することにしました。
一般にこれらの作品の画題には、高千穂や伊勢等の皇室にゆかりの深い地や、日本の景勝を代表する富士などが選ばれることが少なくありません。しかし、その描写は必ずしも従来の名所絵表現の定型にしばられているわけではなく、構図やモチーフの取合せ方などには近代の作品ならではの、個々の作者の創造力豊かな工夫がうかがわれます。同じようなことは、天皇陛下御即位の折りの「大饗の儀」で用いられた《悠紀・主基地方風俗歌屏風》についてもいえることでしょう。その一方で、皇居や日比谷公園などの新たな場所が画家の眼で新鮮にとらえられることにより、新名所へと転じることになったのも、やはり近代の特徴といえます。
さらに注目しておきたいのは、近現代において、こうした新たな“名所画”がもっとも多く生み出されることになった機会は、皇室の御慶事の折りであったということです。その意味で、皇室は、日本の近代美術史のなかで、美術家たちに新たな名所絵創造の刺戟を与えるという役割も果たしてこられたといえるのではないでしょうか。本展は、このことを実作を通じて考える、ひとつの機会としようとするものです。