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館内展示

第20回
民族のこころと形

平成11年(1999)1月9日(土) ~ 3月14日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第20回「民族のこころと形」の展覧会図録表紙画像

当館の多彩な収蔵品の中には、皇室が諸外国の様々な人々と交流される中で贈進を受けられた品々が含まれています。これらについては、その一部を「海を渡ってきた贈り物」展(平成8年)や「ヨーロッパの近代美術」展(平成9年)でも紹介してきましたが、今回は、とりわけその国の文化の伝統と現代感覚が融合した美しさを見せるアジアとアフリカ地域を中心に、ニュー・ジーランド、パナマ、ブルガリアを加えた15ヵ国の王族や元首から贈進された品々を紹介します。

東南アジアから西アジアにかけての地域は、西欧と中国、日本を結ぶ間に位置することもあって、互いの影響を受けながら、独創的な文化を生み出した地域です。その意匠には仏教などの宗数的影響も大きく、多彩な花文様も見られます。また金工、漆工や本象嵌の技術にも、わが国の工芸技術との関連性が認められ、金属や木材の他、貴石、象牙、珊瑚や貝などの様々な素材を用いているのも、山岳と海洋のいずれにも恵まれた地域的な特色と言えるでしょう。

一方アフリカ地域の作品には、象牙や瓢箪、石などの自然な素材に、人々の生活や動物の意匠がおおらかに表現され、人間の根元である生命の力強さが感じとれます。そして、絵画作品を含め、そこには西欧近代美術の影響を受けながら、各国特有の絶えることのない文化的造形的特質が十分に息づいています。パナマやブルガリアの絵画作品にも、同様のことが言えます。

今回の展覧会で紹介する作品は、いずれもその国の文化を代表する作品として、元首等の贈進品に選ばれたものです。それぞれの国の民族に培われた文化の一端に接して頂くと共に、自国の文化を訪りに感じて大切にするそのこころにも触れて頂ければ幸いです。