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館内展示

第13回
旧桂宮家伝来の美術-雅と華麗

平成8年(1996)9月21日(土) ~ 12月8日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第13回「旧桂宮家伝来の美術-雅と華麗」の展覧会図録表紙画像

わが国の文化遺産の中でも、その優美な書院造と日本庭園で知られる京都・桂離宮は、天正18年(1590)に豊臣秀吉の奏請によって創設された八条宮家の別業(別荘)として初代当主・智仁親王によって造作が始められたものです。八条宮家は、常磐井宮、京極宮、そして桂宮とその称号を受け継ぎつつ、明治14年(1881)までの約290年間存続した四親王家の一つで、歴代当主が学問文芸に秀で、常に公家文化の中心に位置していました。今日では、この宮家を概して旧桂宮家と呼んでおります。

この旧桂宮家には、宮家創設時期の初代替仁親王と第2代智忠親王の時期、すなわち桃山~江戸時代前期、そして江戸時代中期の第7代家仁親王の時期を中心として、宸翰や書跡、宮家歴代の書跡類、屏風などの調度の品、御茶道具などの工芸品類などが制作され、また蒐集されて伝わっていました。この中には、すでに良く知られた御物「桂万葉集」や国宝「檜図屏風」(東京国立博物館蔵)などの優品が含まれています。しかし宮家廃絶以後、それらの所在が分かれていったために、旧桂宮家伝来という由緒が不明確になってしまった作品が他にも存在していることがこれまでの調査によって判明してきました。今回の展覧会では、それら美術品類の概要を紹介すると同時に、御物や書陵部の協力を得て、親王の才を示す遺品を加え、これまでひとり桂離宮にだけ視点が当てられていた宮家の美術を、宮家全体の立場で概観します。

旧桂宮家の美術品の数々を通して、旧桂宮家がわが国の近世文化に遺してきた足跡をあらためて認識し直し、優れた近世公家文化の一面に触れていただければ幸いです。