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館内展示

第12回
近代日本彫刻の一潮流-保守伝統派の栄光

平成8年(1996)7月6日(土) ~ 9月8日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第12回「近代日本彫刻の一潮流-保守伝統派の栄光」の展覧会図録表紙画像

三の丸尚蔵館の第12回展示「近代日本彫刻の一潮流-保守伝統派の栄光」を開催します。

一般に日本近代の彫刻というと、荻原守衛や高村光太郎に代表されるような、西欧近代彫刻の影響が色濃いブロンズ作品の数々がひろく親しまれています。しかし、その一方では、明治22年(1889)に開設された東京美術学校彫刻科を出発点とする、木彫を中心とした日本の伝統的な彫刻表現もまた、大きな流れをかたちづくってきました。そして、この保守伝統派の中心的作家として幅広い活躍をみせたのが、高村光雲や山田鬼斎のほか、光雲の弟子の山崎朝雲、新海竹太郎たちでした。彼らは、江戸期以来受け継がれてきた伝統的な技法による写実を表現の基礎としつつ、西欧彫刻にも学ぶことで、主に日本美術協会や官設展を舞台として、まさに近代日本ならではの和洋折衷的な作風をそれぞれ展開したのです。

本展は、従来の日本近代美術史では必ずしも正当な評価を受けることの少なかった、これらの保守伝統派の彫刻家たちの作品世界を、当館が所蔵する計29件の木彫、鋳造作品により紹介しようとするものです。本展を通じて、今日ではともすれば忘れられがちな近代日本彫刻のもう一つの魅力を再発見していただければ幸いです。