みどころ・展示構成

※会期中、一部の作品の展示替えを行います。動植綵絵は全幅を通期展示します。

Ⅱ
伊藤若冲の代表作 動植綵絵、
国宝指定後初の30幅一斉展示

令和3年(2021)に国宝に指定された動植綵絵。30幅の一斉展示は、
国内では平成28年(2016)以来10年以上ぶりとなります。
近世京都で活躍した個性豊かな絵師たちの花鳥画と、夢の競演を繰り広げます。

第一章 動植綵絵Ⅰ 
春から夏へ

季節をめぐる動植綵絵、まずは春から夏の生きものが描かれた作品を紹介します。人生では青春から朱夏となる、生き物の前半生ともいえる瑞々しい季節。明るく晴れやかな画面を通して、生命のたくましさを感じていただきます。

花とチョウがいざなう、楽園の入り口

芍薬群蝶図

国宝 伊藤若冲 動植綵絵どうしょくさいえ 芍薬群蝶図しゃくやくぐんちょうず
江戸時代、宝暦7年(1757)頃 皇居三の丸尚蔵館収蔵

色とりどりのシャクヤクとチョウを描いた春らしい一幅が、季節をめぐる動植綵絵の世界へといざないます。本図は署名や印章のスタイルから宝暦7年(1757)頃に描かれたと推測されており、動植綵絵では最初に描かれたと考えられています。

夏の到来を告げる大輪のヒマワリ

向日葵雄鶏図

国宝 伊藤若冲 動植綵絵 向日葵雄鶏図ひまわりゆうけいず
江戸時代、宝暦8年(1758) 皇居三の丸尚蔵館収蔵

大きな黄色のヒマワリと、濃紺と白のアサガオに囲まれ、飄然と立つ一羽の雄鶏。ヒマワリは江戸時代に輸入され、鑑賞用として栽培されていました。そこに添えられたアサガオとの色の対比が、すがすがしい一幅です。

第二章 華を競う—近世京都の花鳥画

若冲の時代の京都には、円山応挙や与謝蕪村をはじめとした個性的な絵師たちが百花繚乱のごとく現れました。そうした絵師たちが描いた名品を通して、その違いを味わっていただきます。

王者降臨
応挙の本領発揮

牡丹孔雀図

円山応挙 牡丹孔雀図ぼたんくじゃくず
江戸時代、安永5年(1776) 皇居三の丸尚蔵館収蔵

若冲と同時代「写生」で絵画に革新をもたらした応挙の代表作の一つです。緻密な描写に裏打ちされた実在感ゆたかな応挙の孔雀図は、「春の空気まで感じさせる」として宮中でも評判でした。若冲との表現の違いに注目です。

水墨で表現された
厳しき世界

鳶・鴉図

重要文化財 与謝蕪村 鳶とび・鴉図からすず
江戸時代、安永7年~天明3年(1778~83)頃 京都・北村美術館

俳人としても高名な、与謝蕪村による花鳥画の代表作です。激しい風雨の中に描かれたトンビと、しんしんと降る雪の中に描かれたカラスが、鮮やかな対比をなしています。濃彩の絵画とは異なる、表情豊かな水墨の表現が魅力です。

第三章 動植綵絵Ⅱ 
秋から冬へ

ふと気がつけば季節が移ろうように、動植綵絵に描かれる動植物も秋から冬へと替わります。爽やかな秋にあざやかに映え、厳しい寒さの冬に凛としてまた新しい春を迎えようとする姿から、力強く移り変わる自然の理をご覧いただきます。

見得を切るかのような雄鶏の勇姿

南天雄鶏図

国宝 伊藤若冲 動植綵絵 南天雄鶏図なんてんゆうけいず
江戸時代、宝暦11年~明和2年(1761~65) 皇居三の丸尚蔵館収蔵

たわわにみのる南天の実は、「難転」に通じることから火災をふせぐ縁起の良い植物とされました。その中央には、黒と赤の配色が目をひく、大きく猛々しい雄鶏が立っています。迫力に満ちた、頼もしい一幅です。

どろりとした雪の奇妙な生命力

雪中錦鶏図

国宝 伊藤若冲 動植綵絵 雪中錦鶏図せっちゅうきんけいず
江戸時代、宝暦11年~明和2年(1761~65) 皇居三の丸尚蔵館収蔵

二羽のキンケイが、厚く雪の積もった樹木の上にとまります。雪の一部は、白い絵の具(胡粉)を散らして表現しています。葉のパステルグリーンと重く積もった雪の白、そして色鮮やかなキンケイの羽の色が実に鮮やかです。

※「皇居三の丸尚蔵館収蔵」と記載の文化財は、
館収蔵の国有品を指します。