終了

館内展示

第75回
寿ぎの品々を読み解く

平成29年(2017)1月7日(土) ~ 3月12日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第75回「寿ぎの品々を読み解く」の展覧会図録表紙画像

明治期以降、皇室の御慶事に際しては、各方面からお祝いの品としてめでた尽くしの掛軸や置物など、美術品の数々が献上され、現在、その一部が当館に引き継がれています。本展では、これらの品々に示された伝統的な吉祥の主題が、新しい時代の感覚によってどのように表現されたか、その造形美に注目して紹介します。

その中でも鶴と亀、松の取り合わせは、蓬莱模様、蓬莱図などと呼ばれ、祝儀の品には欠かせない主題です。これは、もとは古代中国の神仙思想において、不老長寿がかなう場所である蓬莱山を描いた図様から発展してきたものです。伝統的な蓬莱山図を、近代の画家たちがどのように解釈して描いたか、横山大観をはじめとする画家たちの試みをみていきます。

また、近代ならではの表現として、社頭図(しゃとうず)があります。古くは寺社の境内を俯瞰図としてとらえ、これを身近に飾ることで参詣の代わりとしたものが社頭図ですが、名所を描いた名所絵と結びついて新たに展開していきます。大正期の作品では、境内の風景を画面に切り取ってめでたき景観として描き、花瓶や刺繍屏風にまでその景観が表されました。

このほか、神の使いとされた鹿や鳩、烏などの動物が表された品々、長寿の象徴である寿老人や霊芝の置物、高砂図を紹介します。

これらの品々に込められた健康と長寿、夫婦愛など、さまざまな寿ぎの意味を読み解きながら、その造形をお楽しみ下さい。