終了

館内展示

第73回
駒競べ-馬の晴れ姿

平成28年(2016)7月9日(土) ~ 9月4日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第73回「駒競べ-馬の晴れ姿」の展覧会図録表紙画像

古来、馬は人々の生活には欠かせない存在として身近にあり、わが国の美術作品の中でも最も多く取り上げられた動物の一つでした。馬は農作業や、貨物や情報を運搬伝達する手段として人々の生活に役立ち、戦場でもその俊敏な機動力がいかされました。そのため、馬は人を乗せた姿で多く描かれましたが、気高く勇壮な姿が愛(め)でられて馬だけで描かれることもありました。武士の間では優れた馬を所有することは、権力の象徴として自らの社会的地位を高めることにつながり、馬は屋敷の奥にある(うまや)の中で大切に飼育されました。厩につながれた馬を主題とする「厩図屏風」はその様子を描いた作品です。

皇室においても馬との関わりは少なくありません。宮中に伝わる文化の一つとして、古くは奈良・平安時代に遡る古式馬術(()(きゅう)母衣引(ほろひき) )が現在でも受け継がれています。また、天皇皇后両陛下の昭和34年のご結婚や平成2年のご即位における馬車列を記憶されている方も多いことでしょう。そのほか、皇居宮殿で行われる信任状捧呈式の際、新任の外国大使の送迎にも希望により儀装馬車が用いられ、国際親善の実を挙げています。

本展では、わが国の近世から近代にかけて制作された作品を中心に諸外国の作品を併せて取り上げ、馬がこれまでどのように美術として表されてきたのかに注目することで、馬にまつわる歴史や文化にもふれていただく機会といたします。