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館内展示

第66回
明治天皇を支えた二人 三条実美と岩倉具視 - 一代絵巻が物語る幕末維新

平成26年(2014)7月19日(土) ~ 9月28日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第66回「明治天皇を支えた二人 三条実美と岩倉具視 - 一代絵巻が物語る幕末維新」の展覧会図録表紙画像

慶応3年(1867)12月9日に発せられた王政復古の大号令により誕生した新政府は、明治天皇を中心として、西洋列強と肩を並べるべく国の近代化を推し進めるという大変革に挑みました。10代半ばという若き明治天皇は、その中で数々の難局に対峙されることとなりましたが、その天皇を支えたのが三条実美(さねとみ)(1837~91)と岩倉具視(ともみ)(1825~83)の二人でした。

三条実美は、摂家に次ぐ清華家の筆頭三条家という名家の出身。かたや高位とは言えない家格ながら才気を振るって孝明天皇の側近となり、頭角を現していった岩倉具視。開国か攘夷かで揺れる幕末の朝廷において、尊王攘夷派の中心的存在であった三条と公武合体を主張した岩倉。一見対照的ながら、両者が目指したのは、いずれも同じく王政の復古でした。この宿願が現実のものとなると、二人は協力して天皇を支えて新国家のために奔走し、三条は太政官の最高位である太政大臣に、岩倉も右大臣となり明治新政府の二本柱として活躍しました。二人は常に明治天皇の良き相談役となり、時に国の進むべき道について意見を奏上するなどしてその親政を厚く補佐しました。

三条と岩倉が明治天皇にとっていかに特別な存在であったかを示すのが、岩倉の没後に御下命により開始された両者の功績を記録する年譜編纂事業であり、それに続いて行われた両者の生涯を描く本絵巻の制作です。この明治元勲の一代絵巻は、質・量ともに近代絵画史上類例のない作品であり、その生涯を追いながら描き入れられた同時代の様々な事変は、近代国家の形成過程を視覚化したものとしても貴重な意味を持ちます。

今回の展覧会では、二人の一代絵巻を通して、幕末維新に両者が果たした役割について考えると同時に、絵巻の制作に当たった画家・田中有美(ゆうび)の魅力を紹介します。大和絵の伝統を受け継ぎながらも、近代という時代を見据えた画風を示した田中有美の存在もまた、近代絵画史の上では非常に興味深いものです。初めて紹介するこれらの絵巻を、十分にお楽しみください。