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館内展示

第60回
鎌倉期の宸筆と名筆-皇室の文庫から

平成24年(2012)11月23日(金) ~ 12月22日(土)
宮内庁三の丸尚蔵館

第60回「鎌倉期の宸筆と名筆-皇室の文庫から」の展覧会図録表紙画像

宮内庁には、皇室にゆかりのある図書や公文書、考古品を今日まで守り伝えてきた書陵部という部署があります。平成22年秋に開催した特別展「皇室の文庫(ふみくら) 書陵部の名品」は、それまであまり一般の方々の目に触れることのなかった様々な名品を、初めて、多くの方々にまとまった形で紹介したもので、幸いにも御好評をいただきました。

今回の展覧会は、書陵部所蔵の貴重図書を中心に、その時代随一の教養を備えられていたことで知られる天皇の御直筆の書(宸筆(しんぴつ))など、鎌倉時代を中心とする時期の名筆を紹介します。

花園天皇の〈誡太子書〉や、その御父君である伏見天皇の〈伏見院宸記〉に代表される歴代天皇の宸筆や、能書としても高名な九条良経などの公家の手になる和歌懐紙、日記、書状等の名筆の数々は、単に歴史的資料としての価値が高いだけではなく、美術的視点からも、多くの方々に興味をもって鑑賞いただけることと思います。

また、〈平重盛書状〉や〈西行書状〉も、鎌倉時代という武士が切り開いた新しい時代に先立って、平安時代末期に、すでに宮廷文化の素養を十分に身につけた武士が現れていたことを物語る貴重な書です。

今回の展覧会には、これらの名筆に加えて、京都の御陵に安置されている後白河天皇御木像の内部に納められている天皇御画像(御影(みえい))の影写等について紹介し、平安末から鎌倉末までの天皇や、藤原忠通などの摂政・関白、さらには平清盛を含む大臣らの似絵(にせえ)の名品〈天子摂関御影〉を併せて展示します。

こうした筆跡と肖像とを重ね合わせて御覧いただくことにより、幾世紀もの時の隔たりを超えて、歴史的人物と直接向き合い、対話する時間を持っていただけるならば、これにまさる喜びはありません。