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館内展示

第44回
京焼多彩なり-明治から昭和へ

平成19年(2007)7月7日(土) ~ 9月9日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第44回「京焼多彩なり-明治から昭和へ」の展覧会図録表紙画像

わが国のやきもののなかでも、京焼は華やかな意匠や繊細な絵付けによって親しまれています。江戸時代前期から中期にかけて野々村仁清や尾形乾山といった個性豊かな名工を輩出し、彼らに続いた仁阿弥道八や永楽保全らが他の地域へその技術を伝え、高級で多様な技術を持つ京焼という、ブランド・イメージを次の世代へと継承させてきました。本展ではこのような近世以来の伝統を受け継ぎつつ、明治時代にまた新たにその魅力を開花させた近現代の京焼を特集します。

近代の京焼は西洋から新しい製造技術を導入することで、近世の雅やかな器とは異なる新生面を切り拓きました。当初は海外輸出を目的として、細密な絵付けによる京薩摩が量産されたり、同時代の西洋陶磁を参考にして器形や意匠の改良が試みられました。しかし、やがて東洋陶磁の長い歴史を踏まえて自らの特質を模索し、京焼が本来の理想としてきた造形美を再び追究するようになりました。それは、中国や朝鮮の古陶磁を意識したものや、仁清によって昇華された色絵、または巧みな造形感覚を生かした置物や陶彫に見ることができます。そして、戦後はモダンと伝統との間で均衡を保ちながら、それぞれの作家が現代京焼の創造に挑戦してきました。

今回の展覧会では、3代清風與平や5代および6代清水六兵衞、楠部彌弌などの作品を中心に、多彩に展開してきた優品の数々を紹介します。本展を機会に京焼の新たな魅力を再発見していただければ幸いです。