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館内展示

第37回
雅楽-伝統とその意匠美

平成17年(2005)4月16日(土) ~ 7月10日(日)
宮内庁三の丸尚蔵館

第37回「雅楽-伝統とその意匠美」の展覧会図録表紙画像

皇室の長い文化の伝統に深く関わり、今日まで伝えられてきたものの一つに雅楽があります。現在も式部職楽部では、古来からの雅楽の伝統を継承し続け、宮中行事の折に演じられるほか、春と秋には演奏会が一般にも公開されています。

雅楽は、いにしえの時代に成立した折の趣を、音楽と舞によって伝えるもので、神秘的であり、雅で華麗でもあり、また滑稽さもある表現は、観る者を異なった時空へ誘い、多くの人々を魅了してきました。そして、美術作品に対する影響も大きく、多彩な意匠を生み出しました。

今回の展覧会では、宮廷の人々に学芸の嗜みとして親しまれ、伝授されてきた楽器や楽譜類をはじめ、絵画や工芸作品に表された様々な意匠、そして雅楽の舞に用いられる装束の華麗な意匠を紹介します。

雅楽には多くの楽曲がありますが、それは大陸起源のもの、日本で成立したと言われるもの等、様々です。奈良時代に大陸より伝わった伎楽や散楽に、わが国の歌謡や今様などが結び付きながら、次第に優雅なものとなりましたが、そうした成立やその伝承には、宮廷や有力社寺も関わり、朝廷の儀式や寺院の法会などの際には無くてはならないものともなりました。そのため、その用具として作られる楽器や装束類などは、材を選って、美しいものであることが通例となります。いわば、その時々の優れた技術で制作され続けてきたものです。

そうした伝統とその中で育まれた意匠の展開について、平安から鎌倉時代の貴重な楽譜・楽書類や絵画、そして近世以降の絵画や工芸品と共に、今日の雅楽装束を通して、わが国が誇るべき一つの伝統文化に触れ、あらためて日本文化を伝えていくことの大切さを感じていただければ幸いです。